本記事は以下を目的としております。
GCP無料枠でWordPressをウェブ上にある記事に従って建てた方へ。WordPressの表示スピードが遅くなった時の改善方法の一例をお伝えします。
今回はGCP無料枠で建てたWordpressの表示を速くするためにしたことや、大して効果が無かったことについて紹介します。
WordPressの表示が10秒以上かかって困っている方や、何をしたら良いか分からない方向けの記事です。
GCP無料枠でのWordPressの建て方は割愛致します。当方の環境を載せますので、そちらを参考に効果があるか判断してください。
改善前の環境
Google Compute Engine | |
---|---|
マシンタイプ | f1-micro(vCPU x 1、メモリ 0.6 GB) |
ゾーン | us-west1-a |
ストレージ | Google Cloud Storage(WP-Stateless) |
Webサーバー | OpenLiteSpeed |
テーマ | Cocoon |
プラグイン数 | 14 |
ドメイン | Google Domain |
DNS | Quic.cloud |
CDN | Quic.cloud |
表示を速くするためにしたこと
表示スピードの計測は主にGoogle PageSpeed InsightとGoogle Chromeの検証のネットワークタブのTTFB(最初の1Byteを読み込む時間)を参考しました。
TTFBはサーバーの応答時間とお考え下さい。
プラグインを減らす
私の環境では、プラグインを入れすぎていることが表示スピードを遅くする主要因でした。
f1-microの非力なマシンパワーではプラグインが多いと処理が追いつきません。
(*後程補足しますが、E2-smallにマシンを変更してもTTFBは殆ど短くなりませんでした。)
表示スピード改善前と改善後のプラグイン一覧を紹介します。
プラグイン | 改善前 | 改善後 | 用途 |
---|---|---|---|
Classic Editor | 〇 | 〇 | エディタ |
EWWW Image Optimizer | 〇 | 〇 | 画像最適化 |
Google Authenticator | 〇 | 〇 | 管理ページ用セキュリティ |
IP Location Block | 〇 | 〇 | 国別アクセス制限 |
LiteSpeed Cache | 〇 | 〇 | キャッシュ支援 |
WP Mail SMTP | 〇 | 〇 | メール管理 |
WP-Stateless | 〇 | 〇 | GCSとの連携 |
XML Sitemap & Google News | 〇 | × | サイトマップ作成 |
Sitemap by BestWebSoft | × | 〇 | GCSとの連携 |
AddToAny Share Buttons | 〇 | × | SNSシェアボタン生成 |
Broken Link Checker | 〇 | × | リンク切れチェッカー |
Contact Form 7 | 〇 | × | 問い合わせフォーム生成 |
Invisible reCaptcha | 〇 | × | reCAPTCHA v3(スパム防止) |
Urvanov Syntax Highlighter | 〇 | × | コード表記装飾 |
Contact Form by WPForms | 〇 | × | 問い合わせフォーム生成 |
プラグインを見直して、14→8に削減しました。
add-to-anyはCocoon付属のボタンを使用、Contact-form-7とInvinsible Recaptchaは問い合わせフォームをGoogleフォームで代替えし、コメント欄を閉鎖することで対応しました。
それ以外のプラグインは無くても困らないので、削除しました。サイトマッププラグインは、自分が使いやすい物を使えば問題無いです。
これによって、tonglog.pageのTTFBが8~10secが800msecに減りました。劇的にスピードが速くなりました。
DNSとCDNを見直す
2番目に効果があったのは、DNSとCDNの設定です。
LiteSpeed Cacheの効果を最大限引き出したかったので、DNSをQuic.cloudのDNS ZoneにAレコードを登録し、同じくQuic.cloudのCDNを利用していました。
東京リージョンのE2-smallサーバーで、大体800msecのTTFBでした。
その後、米国西部リージョンでにサーバーを建て直した際に、DNSのAレコードをGoogle Domainで指定し、CDNの利用を辞めました。そうすると、TTFBが2,300msec減少し、500msec程度になりました。
CDNを利用した方が速いと思っていたので、驚きました。
Quic.cloudよりも、Google DomainのNameサーバーの処理が速いと理解しています。
CDNについては、今後アクセス数が増えると、表示スピードが変わる可能性があるので、定期的に見直す予定です。
大して効果が無かったこと
次に、当環境では大きな効果が無かったことを紹介します。
東京リージョンにサーバー移転
表示スピードを改善しようと思って、一番最初に行ったことです。
Pingコマンドを利用して、米国西部サーバーと東京リージョンサーバーのTimeを確認すると、米国西部は100msで東京リージョンサーバーは6msでした。
100msec程度は確実に速くなりますが、TTFBを計測しても特に米国西部サーバーとの差が見えなかったです。
マシンタイプを変更
その次に、マシンタイプをf1-microからE2-smallに変更しました。
しかし、表示速度に対し効果が見えません。それどころか、1日当たり70円課金されるようになりました。
慌てて、f1-microにするも、1日当たり50円課金されます。
1カ月当たり、1500-2100円課金されることが予見できたので、米国西部の無料枠に戻しました。
移転等により、7月は557円の課金が確定しています。
ちなみに、無料枠では6月分の課金は18円で済んでいます。
収益を出せていないブログには、東京リージョンサーバーで稼働するメリットが少ないのでお勧めしません。
インスタンスを削除した際には、必ず紐づいていたStatic IP Addressを削除しましょう。とんログはこれを17日間忘れて、合計1099円課金されました。
改善後の環境
Google Compute Engine | |
---|---|
マシンタイプ | f1-micro(vCPU x 1、メモリ 0.6 GB) |
ゾーン | us-west1-a |
ストレージ | Google Cloud Storage(WP-Stateless) |
Webサーバー | OpenLiteSpeed |
テーマ | Cocoon |
プラグイン数 | 8 |
ドメイン | Google Domain |
DNS | Google Domain |
CDN | 未利用 |
まとめ
- プラグインは出来る限り削減しましょう。
- DNSとCDNはお勧めされた設定のままにするのではなく、表示スピードを計測して判断。
- サーバーのリージョンとマシンタイプは無料枠から変更した方が速くなるが、コスト面を考慮しましょう。
とんログはサーバー移転、マシンタイプ変更、プラグイン見直し、サーバー&マシンタイプ再見直しの順番で表示速度の向上を図りました。
改善方法が初めから分かっていたわけではないので、遠回りをしてしまいました。プラグインが表示速度に影響していると気が付くのに、時間がかかりました。
ぜひ、GCP無料枠でWordpressを建てて表示スピードにお困りの方は、プラグイン周りから検証いただけたらと存じます。
お役に立てたら幸いです。